村上春樹の日本語は機械的で、不自然である。彼の文体は日本語言語意識を破壊する。






2007年08月22日(Wed)
村上春樹の日本語は機械的で、不自然である。彼の文体は日本語言語意識を破壊する。
村上春樹の『ねじまき鳥クロニカル 第1部 泥棒かささぎ編』を読んでいるが、先に触れたが、声の文体と身体性の希薄さを感じているが、違和感を感じつつ読んでいて、日本語が不自然であると感じた。とりわけ、会話の日本語が不自然であると思った。なにか、機械が話しているような人工的な日本語である。言語機械が話しているようである。日本語の会話の不自然さが、おかしさを直接生んでいる原因だと思った。
 例をあげて実証しよう。次は、加納マルタが主人公の岡田亨に電話してきた場面である。

『十一時に加納マルタから電話がかかってきた。
「もしもし」と僕は受話器をとって言った。
「もしもし」と加納マルタが言った。「そちらは岡田亨様のお宅でしょうか?」
「そうです。岡田亨です」電話の相手が加納マルタであることは最初の声でわかった。
「私は加納マルタと申します。先日は失礼いたしました。ところで本日の午後は何かご予定がおありでしょう?」
 ない、と僕は言った。渡り鳥が抵当用資産を持たないのと同じように、僕も予定というものを持たない。
「それでは本日の一時に妹の加納クレタがお宅にお邪魔します」
「加納クレタ?」と僕は乾いた声で言った。
「妹です。先日写真をお見せしたと思うのですが」と加納マルタは言った。
「ええ、妹さんのことでしたら覚えています。でも-----」
「加納クレタというのが妹の名前なのです。妹が、私の代理としてお宅に伺います。一時でよろしいでしょうか?」
「それはかまいませんが」
「それでは失礼します」と加納マルタは言って電話を切った。
加納クレタ?』 p. 154〜p. 155


一見何の変哲もない、ごく普通のように思える電話での会話である。日本語の文法がおかしいわけではない。しかし、注意するとおかしいのである。以下、私が添削する。


『十一時に加納マルタから電話がかかってきた。
「もしもし」と僕は受話器をとって言った。
「もしもし」と加納マルタが言った。「そちらは岡田亨様のお宅でしょうか?」
「そうです(⇒はい)。岡田亨です(⇒不必要)」電話の相手が加納マルタであることは最初の声でわかった。
「私は加納マルタと申します。先日は失礼いたしました。ところで(⇒ところで、不躾で失礼しますが、あるいは、⇒ところで、突然ですが)本日の午後は何かご予定がおありでしょう?」
 ない(⇒いいえ、ありませんが)、と僕は言った。渡り鳥が抵当用資産を持たないのと同じように、僕も予定というものを持たない(⇒持たなかった)。
「それでは(⇒それでは、まことに突然で、失礼しますが)本日の一時に妹の加納クレタがお宅にお邪魔します(⇒妹の加納クレタをお宅にお邪魔させていただきたいと思っていますが、よろしいでしょうか)」
「加納クレタ?(⇒失礼ですが、加納クレタってどなたでしょうか)」と僕は乾いた声で言った。
「妹です(⇒私の妹です)。先日写真をお見せしたと思うのですが(⇒先日写真でお見せした妹ですが)」と加納マルタは言った。
「ええ、妹さんのことでしたら覚えています。でも-----」
「加納クレタというのが妹の名前なのです(⇒加納クレタというのが妹の名前です)。妹が、私の代理としてお宅に伺います(⇒伺うことになります)。一時でよろしいでしょうか?(⇒一時にお伺いしてよろしいでしょうか?)」
「それはかまいませんが(⇒ええ、かまいませんが)」
「それでは失礼します(⇒それでは、勝手なお願いをして失礼しました。よろしくお願いします)」と加納マルタは言って電話を切った。
加納クレタ?』 p. 154〜p. 155

(⇒・・・)の箇所が私の添削である。ざっと添削したので、完全ではないが、それでも、村上春樹の文体が、不躾な、機械的、無機的な言語であることが理解されるだろう。そう、端的に、敬語が崩壊しているのである。恐ろしい悪魔的な作家である。日本語/日本破壊の国賊である。

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