同一性主義自己(自我)の力学について:何が同一性自己に執着させるのか:精神の弱さが極度の同一性主義自己を生む:民主主義批判






2008年08月13日(Wed)
同一性主義自己(自我)の力学について:何が同一性自己に執着させるのか:精神の弱さが極度の同一性主義自己を生む:民主主義批判
これまで、近代合理主義/近代的自我を同一性主義として批判してきたが、単純に、それが同一性自己(同一性)へと同化する力学は何なのであろうか。これまで、この問題は論じ尽くされてはいるが、より直截な明快な理由を求めたい。
 起源はMedia Point である。そこには、+i=正極(陽極)に拠る同一性志向性(同一性自己志向性)がある。この同一性志向性とは、本来、Media Point が内包していると考えられる(自己認識方程式(+i)*(-i)⇒+1が意味するもの)。しかしながら、同一性志向性がさらに強化されて、同一性主義志向性となると、Media Point を排除・排斥する力学をもつのである。この同一性主義志向性は、言い換えれば、父権主義と言える。
 では、これまで数え切れないくらい検討してきた、同一性主義志向性の原因・根因は何か、ここで新たに考察してみよう。これまでの検討を整理すると、二つ要因があると考えられる。即ち、一つは、Media Point の極性力学であり、同一性主義志向性とは、同一性志向性の終端(終点)と考えられる。一つは、Media Point における「トラウマ」である。以前は、悲・苦と表現してきた。おそらく、コンプレックスもここに入れることが可能である。なぜなら、コンプレックスも、悲・苦であるからである。【ここで、心理学的視点から見ると、子どもが親に対してもつ感情は、差異共振感情であると考えられる。しかしながら、たとえば、親が子に対して、差異共振感情を阻害するような態度を取ったとき、子どものMedia Point は悲・苦の様態となる。これは、「闇」である。子どもは、この「闇」から逃れようとするだろう。「闇」を隠蔽するように、自己形成を行うだろう。これは、Media Point を隠蔽するので、同一性主義自己形成になると考えられる。】
 ということで、二つの起因があるが、これをどう考えたらいいだろうか。思うに、一般的に、同一性志向性の終端としての同一性主義志向性が存するのではないだろうか。何故なら、人々が通常もつ自我は同一性主義志向性と考えられるからである。そして、自我といわば隠れたMedia Pointとを妥協させているのが、一般者であるように考えられる。しかしながら、自我が優位であり、隠れたMedia Point は劣位である。これを緩い同一性主義(ソフトな同一性主義)と呼ぼう。
 私がとりわけて問題視するのは、きつい同一性主義(ハードな、タイトな同一性主義)である。極端な同一性主義(以下、閉同一性主義と呼ぶ。対応させると、ゆるい同一性主義は開同一性主義となる)である。
 閉同一性主義の原因は、素朴な同一性主義志向性とMedia Point のトラウマ的悲・苦と近代合理主義/近代的自我/唯物論との複合性にあるのではないだろうか。結局、閉同一性主義は、同一性主義的自己が「暗い、恐ろしい、謎めいた」Media Point に、ルサンチマン的な反感を覚え、Media Point を反射・衝動・情動的に、忘却の淵へと排除し、それに盲目となるまでになることを意味するのではないだろうか。
 言い換えると、閉同一性主義は、個体の精神性の劣弱さに根因があると考えられるのである。これは、不連続的差異論形成の時期において考えた、二つの差異、高貴な差異と劣弱な差異の区別に通じる考えである。当然ながら、これは、ニーチェの『道徳の系譜』に根拠がある。ニーチェ的に言えば、賎民性が閉同一性主義の根拠である。この論点は、以前既述したように、D.H.ロレンスの『黙示録論』においても、キリスト教批判において、鋭く説かれている。
 本件の結論は、苦・悲を耐えることができない精神の弱さに原因があるということである。因みに、ニーチェは『悲劇の誕生』で、古代ギリシア人が、苦に対する強い感受性と途方もない忍耐力をもっていたこと、苦を耐えることに自己の強い誇りをもっていたことを述べている。端的に、古代ギリシア人において、Media Point が驚くべき強度をもって開かれていたということになろう。


   




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カレンダ
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