ハイデガー現象学とは何か:仏教的本質の西洋哲学化






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2007年08月10日(Fri)
ハイデガー現象学とは何か:仏教的本質の西洋哲学化
ハイデガーの『存在と時間』(中公クラシックス)を読み進めているが、ハイデガーのエクリチュールが明らかに、第1部第1篇第4章辺りから変わって、迂回するような文体からより直截的な文体へと変わっていると思う。勿体の付け方は減ってもいる。
 さて、そのことより、読んでいて直感したのは、くどくどと、現存在だの、存在論的だの、実存的だの云々と、似たり寄ったりの概念を展開しているが、結局、ハイデガーが問題にしているのは、仏教哲学であると思ったのである。結局、無明と悟り(悟達・開悟)の関係を西洋哲学的に叙述しているのだと思ったのである。無明が世人様態であり、悟りが本来的自己存在である。結局、仏教を西洋哲学的に解明していると考えれば、晦渋であるが、実にわかりやすい愉しい著書であると思ったのである。
 そもそもフッサール現象学自体が、仏教的なのである。「事象自体へ」という発想は、純粋に事象を視るということである。真実在(真如)を視るということである。フッサール現象学が切り開いた西洋哲学的仏教論をハイデガーが創造的に継承して、さらに西洋哲学による仏教論を展開していると思えるのである。
 後期のハイデガーは、日本人の影響を受けて東洋哲学を触れたであろうが、よくは知らなかったではないだろうか。仏教のドイツ語訳がどれほどあったのだろうか。鈴木大拙の独訳はあってもよさそうであるが。
 思うに、どうして、こんなに分かりやすいことをはっきり言う人が少ないのだろうか。当然、現象学と仏教の比較研究は多くされているだろうが、端的に同質のものであることを述べている人は寡聞にして知らない。
 思えば、不連続的差異論が生まれるすぐ前の頃、根井康之氏の『東西思想の超克』等の著書を読み、仏教(華厳経)、マルクス、現代西洋哲学、自然科学(量子力学)が「根源的自然」というキーターム、キーコンセプトを用いて包括的に論じられているのを知り、私の求めていた理論の裏付けができたと感じたものだった。私の直感していたもの、「コスモス」が、「根源的自然」で理論化できると思ったのであった。結局、不連続的差異論においては、「根源的自然」は、イデア界/メディア界になったと言えよう。さらに、鈴木大拙の即非の論理を適用して、プラトニック・シナジー理論として進展・深化したのであった。
 即ち、PS理論は単に、プラトン哲学だけではなく、仏教哲学を基礎理論としてもっているのである。ということで、仏教哲学の視点をもった新しい差異の哲学・理論なのである。ということなので、PS理論的視点から視ると、他の哲学・思想等を対象としたとき、仏教性を認識できるのだと思うのである。そう、先に簡単に触れたが、アリストテレスの『心とは何か』の「心」も、仏教の「心」(『大乗起信論』)に似ているのが直感できたのである。
 とまれ、ハイデガー現象学の存在とは何か、簡単に言うと、それは、文化的に言えば、精神、魂、心であり、科学的に言えば、量子であると思う。PS理論的には、Media Point 乃至はエネルゲイアである。
 そして、Media Pointが虚界・イデア界に通じているように、存在は無に通じているのである。
 そう思うと、西洋人が、仏教的本質を対象にすると、フッサールにしろ、ハイデガーにしろ(おそらく、メルロ=ポンティも入るだろう)、なんと晦渋な表現になることか。そう、西洋の近代的理性を超えた異質なものを対象とするとき、なんと不器用なのだろうと思う。キリスト教的思想が支配的であるため、仏教的本質を探求するのが、西洋人にとっては実に困難になると考えられるのである。
 もっとも、西田幾多郎の著書を見ても、日本人でも、仏教的本質を西洋哲学化するのは、実に困難なのである。西田のほとんど理解困難な日本語を見ればいいのである。
 とまれ、仏教が今日、日常社会における知恵になっていないのは残念である。仏教的経済がありうるだろう。それは、精神世界をもちつつ、物質世界の秩序的創造に意を尽くすだろう。

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