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2008年04月16日(Wed)
ジョルジュ・デュメジルの三機能仮説と父権/母権支配・被支配構造
以前から、デュメジルの神話の三機能仮説を、哲学的に、あるいは、PS理論的に解明できるのではないかと漠然と思っているのである。以下から、
『この仮説によれば、原印欧語族の社会と宗教および神話は、上位から順に「主権」「戦闘」「その他生産など」の三つに区分され、このイデオロギーが社会階層や神学の主要部分を構成していた、という。それぞれ第一、第二、第三機能 (F1, F2, F3) と呼ばれる(ただし「機能」の用法は社会学におけるそれとは齟齬があり、この点でデュメジルが批判されることもある)。』 ということであるが、原印欧語族(インド・ヨーロッパ語族)という父権的遊牧民族の神話分析なので、その父権主義の視点を外すわけにはいかない。私は、ジョウゼフ・キャンベルの神話学の女神神話と父権神話の絶対的区分の視点を借りて分析したいと思う。 即ち、基底に女神・母権・母系・女権神話(以下、母権神話)があり、支配的な上部構造として、父権神話が成立しているのではないかと、単純には考えられる。 そう見ると、第三機能が母権神話という可能性が大きいだろう。そして、母権社会を武力的に支配したのが、第二機能の「戦闘」の武人階層であると考えられよう。たとえば、ホメロスの英雄叙事詩『イリアス』の凄惨無残な武人たちを考えればいいだろう。そして、第一機能の「主権」は当然、父権神話の神ないしは神々となるだろう。つまり、男性神(以下、女神に対して、男神と造語する)が「主権」として存するだろう。たとえば、ギリシア神話では、ゼウスがそれに当たるだろう。【日本神話に適用するなら、神は何だろうか。天皇が可能性があるが。思うに、アマテラスが第一機能で、スサノオが第二機能で、ツクヨミが第三機能となるのではないだろうか。騎馬民族仮説を考えると、そう見るのは可能である。しかし、以前述べたかもしれないが、日本神話は、母権多神教と父権一神教が交差ないし混淆しているのである。だから、ギリシア神話に近いのである。アマテラスは父権一神教に利用されていると思う。本来は、母権多神教の主宰女神としてのアマテラスではないだろうか。】 そうすると、第一機能と第二機能が父権社会の支配層を象徴し、第三機能が被支配の母権社会を象徴しているのではないだろうか。つまり、デュメジルの三分説は、父権主義と母権主義との混淆であり、本来、不連続な文化が、いわば、連続化されていると見ることができるのではないだろうか。つまり、父権制と母権制の連続態・混淆態がここにあると思われるのである。これは、哲学的には、同一性と差異との連続・混淆化であると考えられる。 とまれ、これを、現代にあてはめると、欧米では、第一機能の「主権」は、キリスト教、自由主義、民主主義であり、第二機能の「戦闘」は軍部・軍隊・武力であり、第三機能の「その他の生産」は民衆・国民・市民等に当たるだろう。日本では、第一機能からキリスト教が抜ける。そして、第二機能は、米軍となるだろう。そして、第三機能は庶民・国民である。 問題は、第一機能が、第二機能を解して、第三機能を支配しているという図式である。これが、父権的権力主義の実体と考えられる。 読者の皆さん、ここで問題を出しますが、この三機能の中でキーポイントは何だと思いますか。勘のいい人はすぐおわかりになると思いますが、第二機能の「戦闘」です。武力です。これは、PS理論から言うと、同一性主義=ロゴス中心主義が発生するときに生じる暴力の具体的装置であります。つまり、同一性主義と同格にこの第二機能が発生することになります。(以下、ですます調から元に戻します。) だから、結局、第一機能と第二機能とは、同一の事態であると考えることができる。だから、三機能ではなくて、二機能でいいことになるのである。同一性主義と抑圧否定される差異共振主義の二つの機能があるのである。これでPS理論の図式となるのである。 結局、ロゴス中心主義の解体がやはり問題となるのである。結局、差異、差異共振性へと回帰することなのである。すると、武力はどうなるだろうか。それは、同一性暴力であることから、差異共振保持力となるだろう。共同体保持力である。それは、共同体資本へと転化するのではないだろうか。軍需産業が平和産業へと転換することを意味するだろう。 端的に、第一機能である国家主義から、第三の差異共振共同体への回帰が必要である。そう、「主権」が第三機能に移ることが必要なのである。父権から母権へである。 ******************* ジョルジュ・デュメジル 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 移動: ナビゲーション , 検索 ジョルジュ・デュメジル(Georges Dumézil, 1898年 3月4日 - 1986年 10月11日 )はフランス の比較神話学者 、言語学者 。インド・ヨーロッパ語族 における比較神話学 の構造的体系化を行ない、クロード・レヴィ=ストロース の構造主義 に大きな影響を与えた。 また(比較言語学者だから当然ではあるが)非常に多くの言語を習得したことで知られ、ほとんどのインド・ヨーロッパ諸語に精通し、さらに複雑で知られる北西コーカサス語族 の権威でもあった。マルセル・グラネ の講座で中国語 を学び、南米のケチュア語 についての論文も発表している(デュメジルによれば、「中国語はケチュア語のようには簡単にはマスターできない」)。ただし本人によれば30の言語を勉強したが、そのうち英語を含めてどれ一つとして正確に話せない、という。 略歴 1898年、パリに生まれる。名門ルイ・ル・グラン校で学び、1916年エコール・ノルマル (高等師範学校)のユルム校に首席で入学。1917年3月に徴兵され、ヴェルダン 、シュマン・デ・ダムなどで主として後方任務に就く。1919年2月、教授資格試験に合格する。その後ワルシャワ大学 のフランス語講師になるがすぐに辞職する。1925年に結婚し、イスタンブール大学 で宗教史を教える。ここでデュメジルはカフカス諸語と出会う。1931年から33年までウプサラ大学 でフランス語教師となる。ここでミシェル・フーコー と出会い、親友となる。1933年6月、高等研究実習院 宗教学セクションの「比較神話学」講師としてフランスに戻る。1948年、コレージュ・ド・フランス の教授に選ばれる。1968年に退官し、まずプリンストン大学 へ、次いでミルチャ・エリアーデ に招かれてシカゴ大学 へ、そしてカリフォルニア大学 ロサンゼルス校で講義を行なう。1978年、アカデミー・フランセーズ 会員に選ばれる。1986年、死去。 [編集 ] 生涯と学問 デュメジルがルイ・ル・グラン校第2級学年のとき、クラスのなかに比較言語学者ミシェル・ブレアル の孫がいた。デュメジルはすでにブレアルの『ラテン語語源辞書』を持っていたが、実際に出会うと彼はデュメジルのサンスクリット作文を直し、そして梵英辞書を与えた。本人によれば、これによって自分の仕事が定まったのだという。ブレアルから比較言語学者アントワーヌ・メイエ の著作を薦められたデュメジルは、この学者の下で研究することを決意する。 メイエのもと、デュメジルが1924年に最初の比較神話学についての博士論文『不死の饗宴』を書いたとき、比較神話学は死んだ学問も当然であった。19世紀末にアーダルベルト・クーン やマックス・ミュラー など自然神話学派 によって進められた比較神話学は恣意的に過ぎ、そして完全に権威を失っていたのである。彼らの手法は語源が一致していれば共通する神話を持っているというもので、初期のデュメジルもこの理論に従っていくつかの著作を発表していた(『饗宴』の場合アンブロシア とアムリタ 。ほかに1929年の『ケンタウロスの問題』ではケンタウロス とガンダルヴァ 、1934年の『ウラノス-ヴァルナ』と1935年の『フラーメン-ブラフマン』は表題のとおり)。このように語源にこだわっていたかたわら、デュメジルは1930年に古代インド とイラン において社会階層の三区分に共通性があることを指摘した。原インド・イラン時代に三階層の社会組織があったという仮説はすぐ後に比較言語学者のエミール・バンヴェニスト によって補強された。 そんなあるとき、講義の準備をしていた1938年に、デュメジルはインド・ヨーロッパ語族の三機能イデオロギー(後に詳述)を「発見」する。インドのカースト 制度(祭司階級・戦士階級・生産者集団)と最初期ローマ の三神(ユピテル ・マルス ・クィリヌス )が共通する構造を持っていたのである。この発見を発表(「大フラーメンの先史」)することによって、デュメジルはこれまで彼の比較神話学に否定的だったエミール・バンヴェニスト から大きな賛同を得ることになり、そして後にはバンヴェニストの尽力によりコレージュ・ド・フランスに選出された。 40年代には『ユピテル・マルス・クィリヌス』3巻シリーズや『ホラティウスとクリアティウス兄弟』などを出版し、デュメジルの仮説が徐々に知られ始めるようになる。 1952年、ペルーを訪れてケチュア語を研究、いくつかの論文を発表する。なかにはトルコ語とケチュア語の関連性を指摘するものもあったが、現在では受け入れられていない。1954年、カフカス諸語の一つでほとんど死語となっていたウビフ語 の話者をトルコで発見し、それから1972年まで毎年トルコを訪れた。研究はウビフ語最後の話者テヴフィク・エセンチ(1992年死去)と共同で進められた。 1966年出版の『古ローマの宗教』から、デュメジルは1938年以来の仕事の総括を行ないはじめる。ついで1968年に『神話と叙事詩I』が出版された。 1978年にアカデミー・フランセーズに入会したときに歓迎演説を行なったのはレヴィ=ストロースだった。 なおデュメジルは神話や宗教を研究していたが形而上 的な問題については自然科学 的な立場にあり、死後の存在については否定的で、人間の思考は究極的には脳の神経細胞 の働きによるものだと考えていた。 [編集 ] 三機能仮説 デュメジルの研究のなかでも最も知名度が高いのが、印欧語族の神話群に共通した三分構造が見られるという「三機能仮説」である(デュメジル自身は「三区分イデオロギー」「三機能体系」「三機能イデオロギー」「三機能構造」と言っている)。日本でも大林太良 や「デュメジル唯一の弟子」吉田敦彦 が積極的に紹介し、日本神話解明に利用している。 この仮説によれば、原印欧語族の社会と宗教および神話は、上位から順に「主権」「戦闘」「その他生産など」の三つに区分され、このイデオロギーが社会階層や神学の主要部分を構成していた、という。それぞれ第一、第二、第三機能 (F1, F2, F3) と呼ばれる(ただし「機能」の用法は社会学におけるそれとは齟齬があり、この点でデュメジルが批判されることもある)。 F1はさらに「呪術的至上権」と「法律的至上権」に分割され、相互補完的に機能する。前者は攻撃的で暗く、霊感に満ち、激しいと表徴されるが、後者は理論的で明るく、穏やかで善意に満ちていると表象される。 同様の分割はF2にも見られるが、F1ほど明確ではない。 F3は、神話によれば本来集団には存在せず、後に闘争を経てF1, F2に加わった。 また三機能を包括する女神の存在も確認される。 デュメジルは、当初は、原印欧時代の社会に現実として存在していた三区分の社会階層が人々の思考に影響を与え、三機能のイデオロギーが形成されたのだと考えていた。しかし後になり、もともと原印欧時代の人々の間に、一つの理想像、世界観として三機能イデオロギーが存在し、それが社会階層と神話思考に等しく影響を及ぼした、という構造主義的な考えを持つに至った。 三機能仮説には多くの批判がある。たとえば「支配する人、守る人、生産する人」という区分は普遍的なものであって印欧語族に特有のものではない。これに対してデュメジルは、少なくとも旧世界において三区分がイデオロギーとして諸構造に深く影響を与えているのは印欧語族以外見当たらないと反論する。また、三機能構造はデュメジルが恣意的に見出したもので、ほかの文献からそれらを「発見」するのは容易である。旧約聖書 からも見つかる。これに対してはデュメジルは数多くの具体例を持ち出し、旧約聖書には三機能が印欧語族の諸文献のように明示されたところは存在しないと反論する。 こうした批判と同時に、多くの神話学者や宗教学者は三機能仮説を受け入れ、それに沿って研究を進めている(たとえばエリアーデ、スティグ・ヴィカンデル 、スコット・リトルトン 、ブルース・リンカーン 、吉田敦彦など)。 |
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